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景色は都市中心部に近づくにつれて街並みがはっきりと見えてくる。ある場所は十階くらいの高さあるビルがいくつもそびえ立っていたり、またある所では西洋風の店が立ち並んでいたりと様々な姿をしていた。
しかし飛行器は少し手前、町外れの一つの民家のそばに降下していく。街の外れにもぽつりぽつりと民家が点在し、外に行くに連れて少なくなって行く。その一つがシリアの家である。
「着いたよ、もう降りてもだいじょーぶだよー」
……大きな家だなぁ。
二階建ての一軒家に庭が裏側に盛大に広がっている。といっても庭というより丘に続いているため庭とは言い難いが少なくとも広さとしては困らないのだろう、夏樹は思った。
「ここが君の……、シリアの家?」
「そ、ここが私の家。学生寮もあるんだけど私は自宅から学校に通ってるの。まあ自宅をこよなく愛してるから……って訳でもないんだけど、友達とかと生活するのもいいけどやっぱり落ち着くからね、家ってさ――」
爽やかに言うシリア。だがその表情には何か悲しいような感じを受けた。なんだろうか、そう考える夏樹だが考える気力は無い。ましてや分かるはずがない
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