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そうやって人は皆溺れて行くのだと少年は思っていた。
少年はこの世界に飽きていたのだ。
黄昏ているうちに時は過ぎ、時刻は六限終了を指していた。
屋上から一階まで続く階段を抜け下駄箱へ向かうとそこは下校する生徒や部活に向かう生徒達がいた。
……この人たち皆毎日が楽しいと思っているのだろうか。
ふとそんな言葉が脳裏をよぎった。
しかし、そんなことを考えたところで他人にはなれないし、同じ生活をすることはできない。
自分は自分であり己自身で決めなければならない。
進むべき道、選びし答えは自分だけが知っているのだから。
少年は靴を履き替え登下校の下り坂をゆっくり降りていく。
「たとえ好きな人が目の前に現れても僕は何もできないダメな人間か――」
ふと視線を上げると自分の好きな人が仲良く友達と喋りながら坂を下っている。
目で追った。
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