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――憧れ。
少年にとって恩人であり、自分に足りないものをすべて持っている。
彼女のおかげで今の自分は友に囲まれているのだ。
そんな平穏で変わりもしない同じ日々を繰り返す。
「――危ない!」
長く続くと思っていた日常。
けれど、終わりは唐突にしてやってくる。
後ろから大きな声が聞こえた。
「――!?」
反射する体は少しの動作のずれを感じながらも後ろを振り向いた。
坂の上から尋常ではない速さで駆け下りてくる一台のトラック。
周りにいた生徒は我先にと歩道や道路脇に避けていく。
……逃げないと――。
動かない。
一瞬の出来事だった。
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