ープロローグー

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この世界はいつから狂ってしまったのだろう……。 月が浮かぶ真っ黒な海に一人の若い男が漂っていた。 その男『稲嶺 当矢(いなみね とうや)』は満天の星空をぼんやり眺めながらふとそんな事を考えた。 ーー第三次世界大戦。 この戦争がそう呼ばれるようになったのはここ数年の話だ。 事の発端は日本の領海内にある、とある小さな島を巡っての隣国との言い争いであった。 お互いに一歩も引かず冷戦状態が続く中、バブルが弾けた隣国が島の地下資源を求め遂に武力占拠に乗り出したのだ。 突然の事態に日本は隣国に対抗する為、同盟国に応援を要請した。 その事が引き金となり隣国と、それに加勢する北の大国による連合軍との間に戦争が始まったのだ。 そして、まるでそれに触発されたかのように西欧統一戦争の勃発、中東では民主化運動が激化、内戦状態に陥り(おちいり)世界各地で侵略戦争が始まった。 こうして世界は徐々にボタンを掛け違えていく事となった。
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