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「く……!ここまでか……!!足に……力が入らない……!!もう走れないのか……!?今ならメロスの気持ちがわかる気がする……!!」
「……あの、どうしたんですか?てゆうか、もう走ってないですよね。」
「いや!まだ行けるはずだ!ここで諦めてたまるか!!まだ走り続けるぞ!!」
「いえ、もう走る必要ないです。」
「よかった!間に合ったぞ!俺は……勝ったんだ!!」
「全然間に合ってないです。後、何に勝ったのかと言ってるのかわかりませんが、多分負けてます。」
「大きな試練を超えて、少年、左藤は、また一つ強くなった。」
「…………。」
黙るのはやめようよ。泣くよ?
今俺を哀れむような目で見ているこの少女が、東雲優奈(しののめ ゆうな)。
中学の時からの知り合い。こいつも、出席番号が前後だったとかで親しくなり、今に至る。
特徴といえば、ツインテール、事務的な感じの口調、驚異的な頭の良さ、ずば抜けたルックス、身長の低さ、絶壁。
「……なんだか、二回ほど馬鹿にされた気がします。」
「気のせい気のせい。でもさ、一応入学式には間に合ったじゃないか。」
「集合時間には遅れてますよ。」
「時差だ。」
「……意味がわかりませんが……。」
「……お前ら、結構うるさいぞ。」
まさか、浩輝に注意される日が来ようとは……。
実は今講堂にいて、入学式の真っ最中なのですよ。
まあ確かに騒ぎすぎたかもしれない。
「だが反省も後悔も学習もしない。」
「それなにもしてないじゃん!?」
浩輝も結構うるさいぞ。
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