アバンタイトル

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 ああ、すまない。話が逸れたな。そっちの情報から隔離されたら、近況の事しか書くことがなくてな。……正直なところ、異世界に居る兄からこんな手紙が届いても普通は困るだろ?俺もイマイチ状況がわからなくて困ってるけど、とりあえずは元気でやってる。  それより…異世界なのに近況の手紙がよく届けられたな、って、疑問に思うだろ?いんや、勿論簡単な話じゃありえない。大体、それなら俺がこの世界へ居続ける理由にならない。  俺がそっちへ帰るには、色々と面倒な手順がいる。手紙で書くのは面倒だから省くが、そんな簡単に世界の“境界”とやらは往き来できない。  それに、残念ながら、俺が生きている間はこの手紙を届くことはない……つまり、この手紙は遺書みたいなモノだな。こんなもの書くなんて思わなかったよ。  だから、少し真面目な話をしよう。今、この世界のある島に居るんだが……そこのゴタゴタに俺は巻きこまれている。勿論、生死に関わるほどの、なっ……でだ。この島の現状がもし落ち着いた時、俺がそっちに戻れない可能性もある。正直、今日、大丈夫かもわからないし。その時は、責任持ってこの手紙を送り届けてくれるらしい。  でも、いざ書こうとしたら、何故かな。言葉に詰まる。もっと書く事あるはずなのに……こんなものが届かないことを祈るよ。  もし届いたら、代わりに両親の…… ~~~~~~~
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