廃城の記憶姫

流星の祭り

　いくつものかがり火が、村の舞台を照らしていた。

　ほぼ全員と思われる村人がその小さな舞台の周りに集まり、胸を躍らせ、期待に満ちた瞳を向ける。

　流星の祭り。

　毎年村で行われる祭りも、今年で70年を迎え、伝統的なものになっていた。

　そういった意味でも、特別な祭りだったが、今年はさらに特別だった。

　村人の歓声を浴びて一人の少女が暗闇から舞台に現れる。

　艶めく薄茶色の長い髪、揺れる大きな瞳は何ともかわいらしく、静かな笑みを浮かべていた。

　しかし、村人は少女のドレスを見て、驚いた。

　祭りとなれば、普通、華やかな衣装を身にまとうのに、彼女が着ていたのは、シンプルな濃紺のドレスだった。

　もちろん、リボンもあしらわれているが、それでも簡素なドレス。

　ざわめく村人とは対照的に、この村がある小さな国の王と王妃は微笑みながら、愛娘―――リリア姫の舞台を見つめる。