第2話

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「日本語に訳せば『全体主義』。つまり一人の人間が、あるいは一つの組織が自分たちのいう事は一から十まで全て正しい、だから全員言うとおりにしろ。そんな感じで政治をやる事ね」  これには前島の方が早く反応した。 「昔のドイツのヒットラーみたいな物ですか。確か、ナチスとかいう政党」 「さすが前島。優等生はいう事が違うな。ええと、俺に思いつく例と言えば、宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統ぐらいか?」 「あはは、そうね。例としては間違ってはいないわ」  園田先生は一瞬コーヒーを吹きそうになったが、気を取り直して話を続ける。 「日本の歴史でもファシズムの時代はあったわ。特に昭和初期の戦前戦中。軍部が政治を完全にコントロールして、ヒットラーのナチスドイツと手を組んで第二次世界大戦に突き進んだ」 「あの、先生、あたし分からない点があるんですけど」  前島が段々饒舌になってきた。こいつ、こんな難しい話によくついて行けるな。やっぱり俺とは頭の出来が違う。 「戦争末期に日本のヒットラーって言われた人がいましたよね? でも日本にヒットラーみたいな人物がいたとしたら、当時の天皇でないとおかしくないですか?」
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