第2話

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 それ以来、俺は前島美鈴と時々校内で話をするようになった。前島は俺から見れば雲の上の優等生で、これまで話をしてみようなんて思った事もなかった。もちろん彼氏彼女なんて関係じゃないけど、そもそも女子とあまり付き合いのなかった俺には割と新鮮な経験だった。  それに前島っていつも三つ編みの髪型でダサイってイメージがあったけど、そこは思春期の女子、よく見るとけっこう可愛いとこもあるんだよな。それに優等生と付き合いがあって一番助かるのは学校から出る課題だ。  夏休みの国語の課題で読書感想文を書かなきゃいけないんだが、読むだけでも一苦労の俺にはどうやったら合格点がもらえるような感想文を書けるのか、見当もつかなかった。課題図書は「あのライトノベルがすげえ!」の2008年総合ランキング1位「古メタルパニック!」だった。  けど今年は楽勝だ。前島がコツを教えてくれたからだ。感想文の他の部分はどうしようもなくても、「この作品は戦争がいかに悲惨かを描く事によって平和の大切さを訴えた21世紀初頭の人道主義小説」みたいな事を入れておけば何とか合格点はもらえるんだそうだ。さすがは優等生、目の付け所が違う。
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