第2話

7/45
前へ
/56ページ
次へ
 改めて自分がいかに頭が悪いかを思い知らされた。第1巻を半分ぐらい読んだだけだが、俺はドキドキ、ワクワク、ハラハラしちまって、むしろこの本に描かれている戦闘の描写読むと楽しい気分になっちまうんだよなあ。  前島も園田先生と気が合ったらしく、俺たちは二人で放課後保健室を訪れて先生と三人で話し込む事が多くなった。もっとも前島と先生の話は次元が高すぎて俺にはついていけない、いや正直全然理解できない事の方が多かったけど。  そんな日、下校時間になったので帰ろうとして俺が保健室のドアを開けると、ドアの外の廊下に陰険そうな顔つきの社会科の先生が立っているのに出くわした。その中年の教師は明らかにあわてた様子で、たまたまその時前を通りかかっただけというフリをして足早に歩き去ったが、俺にはドアに耳をあてて盗み聞きをしていたとしか思えなかった。  それを園田先生に告げると先生は一瞬青ざめたように見えたが、すぐに「あはは、気のせいよ」と笑って俺たちを保健室から追い出した。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加