第1話

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 普段活字の本なんて教科書以外はまず読まない俺は、そのコーナーにたどり着くのも一苦労だった。やっと「涼宮ハレルヤ」シリーズの並んでいる列を探し出し、その第1巻「涼宮ハレルヤの憂鬱」を探し出し、それを持ってレジに並ぶ。  家に帰る路上で俺はどうやって社会科のレポートを書こうか、頭を悩ませていた。この「涼宮ハレルヤの憂鬱」ってのは、2005年の「あのライトノベルがすげえ!」総合ランキング1位になった名作で、なんでも神と人間の葛藤と和解を描いた哲学的名著なんだそうだ。  先輩に以前聞いたところでは、この中に出てくる「人間原理」とかいう言葉に適当に触れていればギリギリ合格点はもらえるし、インターネットからのコピペも多少なら大目にみてもらえるそうだ。けど、その「多少なら」ってその限度が俺には分からないんだなあ。  あ、自己紹介がまだだったな。俺の名前は松陰翔太。こう書いて「まつかげ・しょうた」。よく変わった苗字だって言われるけど、俺がつけたわけじゃないんだから、そこはほっといてくれ。
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