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この小説、未来の経済活動を担う若者世代の教育のバイブルだとか言われてて事実上の中学必修図書なんだが、俺には美少女にたぶらかされた商人が行く先々でぼったくり同然の商売をやっている話にしか思えないんだけどな。
前に社会の先生にそう言ったら「社会人になって自分で金を稼ぐようになった時、ぼったくりの被害に遭わないために必要な知識なんだ」と言われて、こっぴどく怒られた。でも、園田先生だけは大笑いして「そこが面白いのよ、この話は」と俺に言ってくれた。そんな事もあって、俺は園田先生が変な意味じゃなく気に入っていて、今日も保健室へやって来たのでありんす。
保健室のドアをノックして「先生、俺っすけど」と声をかけたらすぐに園田先生が開けてくれた。中に入ると、先生の机の上には相変わらず18禁本が拡げられていた。そりゃ先生はもう大人なんだから、こういう本読むのは別にかまわないだろうけど、保健室の先生とはいえ学校に堂々と持って来るのはどうか、と他の先生たちは問題にしているようだ。
今日先生の机の上にあったのは「みだれ髪」とか言う短歌集。なんでもエッチな内容の歌が多くて、学校教師の労働組合の全国組織である日本教職員労働連合、略して日教連が札付きの18禁に指定させた物だ。
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