‡序章‡

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天井の一部が外れたらしい。 天井の上には、人が一人通れるぐ らいの空間が広がっていた。 少し埃っぽいその空気に顔をしかめつつもくいっと頭を回し辺りに視線を投げる 体ごと後ろを向けば、丁度自分の後ろに、それは落ちていた。 膝を折って取り上げれば、想像よりも軽い天井…今は床であるそれから付着した埃がふわっと舞った。 舞い落ちる埃に息を止め、ぱっくりと口を開けている床にはめ込む。 その上を何度か踏みきちんとはまったことを確認すると闇の中へと目を向けた。 …確か、鞄の中に懐中電灯があったか… 数歩進んだところで鞄に入れた懐中電灯の存在を思い出し、その場で足を止めた。 私、なかなかに準備万端じゃん。 鞄の中の懐中電灯を取り出そうと、鞄を肩から下ろし、その場に置く。 その口を開け、中に手を突っ込んで… その手を止めた。 別に見えないこともない。 この程度の暗闇なら光が無くても、ある時と変わらなく動けるだろう。 特に訓練された訳でもないけど、昔から夜目はきく。 一般の人から見たら真っ暗で何も目視出来ない暗闇でも活動できる。 ある程度の闇の中なら光が無くても行動することに問題はない。 普段は別に何とも思わないけど、こういうとき…暗闇の中なんかでは便利だな、と思う。 まぁ、訓練すれば誰だって夜目が利くようになるらしいけど。 それに、懐中電灯を持った為に手が塞がるのもいやだしなぁ… 突っ込んだままだった片手を引き抜いて鞄の口を閉じる。 床の上に置いた鞄を引っ張り、肩へとかけた。 折角鞄に入れたけど、懐中電灯の出番はこの先のどこかまで取っておこう。 自分の中で出た結論に一人でうん、うん、と頷き足を前に出す。 ただ、真っ直ぐな天井をただ、歩いた。 …ホントに、暗い。 お化け屋敷の方が明るいんじゃないか?ってくらいに、暗い。 それに、湿っぽいって言うか古臭いって言うか… まぁこの建物、見た目があんなんだからしょうがないって言えばしょうがないんだろうけど。 近所じゃ幽霊屋敷、だなんて名前まで付けられているこの廃ビルの中を夜中に真っ黒の服を着て一人で歩く女子高校生、って。 一体どんな図だよ、ホントにさぁ。 制服じゃないだけまだマシか? …いや、そういう問題でも無いか。   なんて、くだらないことを考えながら歩いていたら、不意に。 「ッ!」 がくん、と体に衝撃が走った。 .
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