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彼女は、毎夜、やって来る。
その瞳は、狂気で歪み、怒りに揺れる。
口元から、呪詛の言葉が、繰り返し捻り出され、私に投げ掛けられる。
私の枕元に立ち、細い指先を首筋に回し、きつく締め上げていくけれど、微妙な力加減のままだ。
伝わる感触は、冷たく、ぎりぎりと爪が食い込み、鮮血の血液を垂れ流す。
「死ね、死ね、お前なんか、死んでしまえ」
私は、ただ、耐えるだけだった、彼女に殺されたい、彼女の目の前で死に絶えたい。
苦しみを、哀しみを、怒りを……
全てをぶつけてほしかった。
私の罪に罰を降してほしかった。
死ぬことのできない、こんな臆病な私を殺してほしかった。
いつから、こんな醜い願望が生まれたのだろう?
私が、罪人と成り果ててからだろうか?
わからない。
過去は、忘却されてしまった。
未来に、希望など持てない。
彼女が、私を殺してくれるまで。
私は、こうして手紙を書くのだろう。
たとえ、それが、私の見る、単なる幻想だったとしても……
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