回想列車

4/15
前へ
/58ページ
次へ
窓の外は真っ暗な闇にポツポツと 小さな光が踊る この電車に線路はない 第一この世界には地面がない ただ車輪は何もない空を切るだけである 真っ暗な…いや、何か宇宙空間というべきか 僕はただその中を目的もなく進んでいる 不思議と今退屈という感情はない 窓の外は何もないというのに 僕は期待しているのだろうか もしかしたら窓の外に何かしら写るのではないか 何か違った物が存在があるのではないか ただ本当にそう思っているのなら 無駄なことかもしれない ただそう望んでしまうのは仕方がない 今どれだけの時間が過ぎただろう 何時間、何分、何秒? いや、もしかしたら刹那の刻かもしれない 相変わらず窓の外には何も写らない それでも僕は見続けた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加