回想列車

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多分この光景は異常であるといえるだろう しかし僕にはその異常が普通に思えた さらにいうとやっと来たか、という気さえする 何故かは僕にもわからない 「何かお探しかい?」 猫は二度同じ質問を僕にしてきた 「いいや、何も探してはいないさ」 僕はそう言うと猫はふっと笑い僕の向かいの席を指(というかにくきゅう)を指した 「座っても?」 猫はそう言い僕が返事をする前に座っていた すこし可笑しい気がして口が綻ぶ じゃあ聞くなよ…と 「いやはや申し訳ないね、最近は体がすぐに疲れてしまって…さて君は私のことを知っているかな?」 猫が急に質問をしてきた 知っている?そんな馬鹿な 今僕とこの猫は出会ったばかりである して、今や失われた記憶の中にも不思議と出会った気はしない 「知るわけがない」 と簡潔に答えた
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