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その呟きと共に、翼の体を貫いたものが、勢い良く抜かれた。
「………………ッ!!」
血を吐きながらも、叫びを痛みを堪えた翼が振り返ると、一人の少年がいた。
翼の血で所々が赤く染まった少年は、櫂と同い年くらいで。
少年の顔立ちを見た翼は、少年が自分を刺した理由に気付いた。
「……あの時の……」
「そうだよ。やっと、果たせる…。兄さんの仇討ちを……」
少年は涙を流しながら、嬉しそうに微笑んだ。
少年は、前に一度だけ翼が承けた任務…人を“壊す”仕事で“壊した”男の弟だった。
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