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翼の血で紅く染まったベッドで、櫂は翼の服を握り締めていた。
「……櫂……」
「…………翼…、俺………」
櫂は乾いた喉から震える声を振り絞って。
そんな櫂に、翼は微苦笑を浮かべて。
俯く櫂の頭を、優しく撫でていた。
「櫂、ごめん。俺…お前ともっと一緒にいたかったんだけどな」
「…………いればいい………っ」
「……かーい。ほら、顔上げる」
翼の言葉に応じて、櫂は顔を上げた。
櫂の顔は哀しみで彩られていて。
普段は感情をあまり表に出さない櫂は、これから襲いくる喪失感に、怯えていた。
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