闇の中の道標

9/22
前へ
/24ページ
次へ
櫂にバッサリと切り捨てられた翼は、心配事があるように顔を曇らせていて。 「…大丈夫、だよな……?」 翼は櫂の部屋を見上げていた。 カーテンが窓を覆っているところを見ると、櫂は部屋にいるらしい。 翼は、櫂の心が心配だったのだが、あの様子だと大丈夫と思うしかない。 本当は辛いのではないか。 本当は怖いのではないか。 櫂は心というものを、感情というものを忘れたから平気だと、翼に言う。 ――けれど。 「平気なわけ、ねぇだろ………」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加