一章

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「ちょっと俺も混ざってくる!!」 「え」 そう言ったのも束の間、啓太君を含めた三人は楽しそうに竹刀を振るっていた。 「仲良いなぁ…」 少し寂しそうに呟かれたその言葉は、彼らの声によってかき消されてしまった。 ――― ―― ― 「あー疲れた、余計な動きをしたせいで疲れた」 「あの二人を相手にするのが間違いなんですよ」 と言って、肩をすくめて笑いながら先輩を見上げた。 「…ったく今日はあいつらこき使ってやる」 「そう言えば同じ家でしたね」 彼らは訳ありとか、家が遠いとかで集合住宅のような所でルームシェアをしている。 つまりはシェアハウス。 同じ屋根の下で、同じ釜の飯を食う仲、そんな彼らの間には到底私たちには見えない絆がある。 「だから仲が良いのか…」 と、一人納得していた。
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