一章

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――― ―― ― 「お父さん…お母さん…」 目の前の真っ白な棺桶に入って横たわる冷たい両親を見つめ、静かに涙を流した。 あの日、ちょうどお父さんが帰宅したとき、狙ったかのように大型トラックが玄関につっこんできた。 原因は、居眠り運転。 そんなくだらない理由で、私は大切な家族を失ったのだ。 すると聞こえてくる呼び鈴の音。 玄関の戸を開けると、西野先輩がいた。 「抄華…」 「西野先輩…」 突然の先輩の訪問。普段は喜ぶところだが、今は頭が真っ白になっていてそれどころじゃない。 全く頭の中を整理できないのだ。
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