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ミノル『ね、姉ちゃん?』
その表情は怒りから来るものでも嫉妬から来るものでもなかった。
単純で、それでいて深い……絶望。
まるで全てが駄目になったみたいに、それも人生レベルな。
今にも自殺してしまうのではないかとも感じてしまう……全てを失った絶望を表した表情。
俺はそんな姉の表情に、初めて姉に恐怖した。
姉は俺が怯えていることに気付いたのか、ハッと我に帰りいつもの優しい表情を作った。
恋『あ、ご、ごめん! 何でもないの、気にしないでミノル。 そ、そっかついにミノルにもか……彼女が出来たんだ~。お姉ちゃんは嬉……うれ………う……』
姉ちゃんは顔を手で隠すと部屋から出て行った。
でも隠してもわかる。
姉貴は泣いていた。
いつもなら追いかけるのかもしれない。
でも、俺はそうしなかった。
俺も……絶望していたから。
何故姉貴が俺に対してこんなに溺愛していたのか、それが俺を弟として見ていなかったから……俺を男として見ていたことに気づいてしまったから………俺はこの日、人生で二番目に大きなショックを受けた。
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