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それでもここぞというときは社長室を飛び出し、外を走り回るフットワークの軽さは、まるでおじいちゃんの皮をかぶった違う生き物のようだった。
いろんな意味でその辺の若手社長には負けない凄い社長である。
外の爽やかな空気とは明らかに違う古いビル独特の匂い。そんな少しヒンヤリとしてだだっ広く受付のいないロビーを、警備員に挨拶をして抜ける。
奥のエレベーターに乗り込むと上の階へのボタンを押した。
「ふぁ・・・」
春海は拳が縦に入りそうなくらい大口を開けてあくびをする。
ねむ・・・
昨日ついソファで寝ちゃったから、全然疲れがとれてない・・・
それでも、誰よりも早く出勤し、まだ誰もいない会社で朝ごはんを食べながら皆の出勤を待つちょっとした優越感。
これが春海のやめられない日課となっていた。
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