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一面の闇。
目の前に現れる人影。
それが誰なのかは分からない。
ただ怖い。
手足が強張り、鳥肌が立つ。
ドォン……
耳の奥に聞き覚えのある音が響いた。
そう、アイツだ。
分かった。
分かったが、動けない。
目の前の影が少しずつその姿を露わにしていく。
全くくたびれていない黒いスーツ、視線を隠す黒いサングラス、そして見下すような笑みを浮かべる口……
ゆっくりと手をこちらに伸ばす。
来る……!
掌から放たれるものに備えてさらに身体が強張る。
しかし手は開かなかった。
こちらの胸を差したままゆっくりと口を開く。
「お前が……」
男が言い終わらない内に、その身は闇に消えていった……
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