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犬飼源は目を擦りながら体を起こした。
ボサボサになった灰色の髪を軽く撫でつけるが、あまり効果は無い。
部屋の中からは規則的に繰り返される振動音が聞こえる。
しかし源からは音の出所が見えない。
手を伸ばすと、バイブレーションのせいで床に落ちていたらしい携帯電話に指先が触れた。
気だるそうに着信画面を見た源だったが、その瞬間に眠気は吹き飛んだ。
敏速に通話ボタンを押し、携帯を耳にあてる。
すぐに勝克和葉の焦ったような声が聞こえてきた。
「あ、もしもし源ちゃん!? よかった、やっと繋がったわね。
学校の南、約2キロ。 そこからは北に……だいたい5キロね。 行って貰える?」
「わかりました。 他のメンバーは?」
源は階段を降りることはせず、なるべく静かに窓を開けた。
「遥ちゃんとクルスちゃんには連絡がつかなかったわ。 こんな時間だからしょうがないんだけど……
他の子にも一通りあたってみて、随時援軍に向かわせるから先に現地に向かって頂戴」
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