悪夢の再来

3/31
前へ
/39ページ
次へ
犬飼源は目を擦りながら体を起こした。 ボサボサになった灰色の髪を軽く撫でつけるが、あまり効果は無い。 部屋の中からは規則的に繰り返される振動音が聞こえる。 しかし源からは音の出所が見えない。 手を伸ばすと、バイブレーションのせいで床に落ちていたらしい携帯電話に指先が触れた。 気だるそうに着信画面を見た源だったが、その瞬間に眠気は吹き飛んだ。 敏速に通話ボタンを押し、携帯を耳にあてる。 すぐに勝克和葉の焦ったような声が聞こえてきた。 「あ、もしもし源ちゃん!? よかった、やっと繋がったわね。 学校の南、約2キロ。 そこからは北に……だいたい5キロね。 行って貰える?」 「わかりました。 他のメンバーは?」 源は階段を降りることはせず、なるべく静かに窓を開けた。 「遥ちゃんとクルスちゃんには連絡がつかなかったわ。 こんな時間だからしょうがないんだけど…… 他の子にも一通りあたってみて、随時援軍に向かわせるから先に現地に向かって頂戴」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加