〈卒業〉

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〈卒業〉

「今日で終わり…か。」 僕は、中学時代の最後のイベント卒業式を終え、屋上に来ていた。 一人で黄昏れていると、後ろから、聞き慣れたドアの開く、重たい音が聞こえた。 「あ…来てたんだ…」 「うん…お別れだからね…魁原も同じじゃないの?」 「私も…同じ」 学校の中で、一番別れたく無い場所…それが屋上だった、僕にとっても…魁原にとっても…。 「終わっちゃうね…中学生…」 「うん…」 卒業証書を片手に、二人とも下を向いたまま、目を合わせなかった。 「あのさ…一つ、聞いていいかな」 二人の沈黙を破って、話し掛けたのは、僕からだった 「ん?、なに?」 「何で、魁原が仙陽高校受けたの?」 「…え?」 私立仙陽高校…この地区じゃ知らない人は居ないぐらいの試験校。 「わざわざ推薦取ってまで、何で入ったの?」 「えぇっと…」 この問い掛けに、魁原はこう答えた。 「やりたい事があったから…かな?」 「やりたい事?」 僕が首を傾げて言うと。 「うん、やりたい事があったの」 笑顔でそうゆう魁原に、スッとはにかんで、 「なにそれ?」 そう聞くと、魁原は口元に人差し指を当て、こう言った 「秘密」
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