日課

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“人ならざる”この男の名は小松(こまつ)。 曰く、この森に生えている松の大木に宿る精霊らしい。 いつも私に話しかけてくる1人。 精霊であるこの小松と普通に喋っているあたり、気付いているかと思うが、私は俗に言う“視(み)える“体質らしい。 物心ついた時から妖怪やら精霊やら九十九神やらが視え、話すことも触れることもできた。 もちろん、他の人には視えないため、気味悪がられたこともある。 でも、もう他人の前で視えていたり聞こえていたりしても無視して普通に過ごしているため、誰もそんなことは言わなくなった。 “人ならざる者”達も気を使っているのか、私が1人の時以外はあまり姿を現さなくなった。 「……あ」 でも、あの人にも彼らが視えてたんだっけ。 今朝見た夢の影響か、そんなことが頭を過ぎった。 『そういえばお嬢、今日はお嬢の十(とお)の誕生日じゃあなかったかい?弟も七つになるんだろう?』 「そういえばそうだったな」 今朝の夢ですっかり忘れていた。 今日は葉月の明けの一日。 私と弟の翔大(しょうだい)の誕生日だ。 歳は3つ離れているが、同じ日に生まれた。 それにしても… 「誕生日かぁ~…」 つい、ため息と共に口からこぼれてしまった。
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