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しかも、葉月の明けの一日に生まれたときた。
一族の言い伝えによると、この日は一族の初代当主・天空(あまあき)が生まれた日らしく、縁起がいい日なのだそうだ。
そして、この日に生まれた次期当主は、一族に繁栄をもたらすのだとか。
喜びも大きかっただろうことがわかる。
当然、長子である私は跡継ぎで、その誕生日が盛大に祝われるのも納得できる。
だが…
「嫌なんだよ…大人達のあの目が…」
宴が嫌いなわけじゃない。
どちらかと言うと、皆で集まって楽しく過ごすのは好きな方だ。
でも、集まって来る分家の大人達の目的はそれじゃない。
皆、八月一日家次期当主であり、尚且つ濃い血を受け継いでいる私と繋がりを持ちたがっている。
つまり、自分の家の者と私を結び付け、将来的に結婚させたがっているのだ。
理由は一つ。
より濃い血を持つ子を産み、自らの分家の力を上げるため。
本家との繋がりができた分家は、他の分家よりもその権力が上がるらしく、それを狙って来る分家がほとんどだ。
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