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これは〈絹の滝〉と言って、名の通り、流れ落ちる水が絹のように見える美しい滝。
思いの外高い所から流れ落ちている。
私の目的地は、この滝の更に向こうにある。
下駄をカッカッと小気味よく響かせながら岩から岩へと跳び上がり、滝の一番上まで登る。
水しぶきが気持ち良い。
滝へ流れ込む水を運ぶ天然の水路を岩々を跳び移りながら溯ると、開けた場所へ出る。
此処こそが私の目的地――〈清命(せいめい)の泉〉。
広大なこの泉の至る所から湧き出ている水は、清水(せいすい)と呼ばれるほど清く、混じり気のない、透明で綺麗な天然水だ。
そして、此処は――精霊の集う場所でもある。
『あら?蒼夜様?』
『いつもよりお早いお着きですね、蒼夜様』
『おはようございます、蒼夜様』
「おはよう、皆」
笑顔で迎えてくれる、ぼんやりと色とりどりに光る精霊達。
皆、老若男女様々な人の姿をしており、小松のように小さい者から、私と同じくらいの大きさの者まで様々だ。
精霊の集う場所と言うだけあって、その数は数えきれない程。
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