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「大丈夫。お前ならできるよ。何たってお前は…」 「   !   !」 もう少し…もう少しで届く…! 「――なのだから」 そう言って、その人がにっこり笑ったと同時に、その人がいる地面の光が強くなって、その人の姿が見えなくなった。 「    ーー!」 右手を前に出すも、まだ届かない。 それどころか、ぬかるみに足をとられ、前のめりに転んでしまった。 顔が泥まみれで、何も見えない。 「さようなら、蒼夜。体に気をつけて。――平和で楽しい日々を、ありがとう」 その言葉に顔を上げ、泥だらけの顔を拭って前を見た。 その瞬間、強い光が空から地面へと落ちて来た。 雷だ。 雷は、丁度その人がいる所に落ち、辺りを眩しい光で包んだ――。
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