一章

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(これだと、早く次の仕事先見付けないと、家賃払えなく大家に追い出されるな) 悠真はユラリユラリと歩いている内に、悠真が住んでいるアパートに着いていた。 〔呉野創莊〕[クレノソウ] 東京都の端にある、ボロいアパート。 家賃は安く四万円。 「あら、羽方さーん」 声が少し濁った低めの声が遠くから、聞こえた。 声がした所を見れば、買い物袋を両手一杯にぶら下げている女性が悠真に近付いてくる。 「大家さん」 呉野莊の大家、鈴木 洋子[スズキ ヨウコ]だ。 人柄がよく、面倒見の良い性格をした人だ。 「羽方さん今月の家賃、今貰っちゃって良いかい?」 「あ、はい」 悠真は渋々自分の財布から四万円を取り出し、大家に渡した。 「確かに……受け取ったよ」 そう言って、大家は着ていたエプロンのポケットにしまった。
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