寒い冬

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そんな先生が、駅前公園の向こうから走ってくる姿が見えた。 「あけましておめでとう!遅くなってごめんね!向こう側に車置いてるからおいで」 私の母親とそう年は変わらないのだろうけれども、若く見える先生は、小さい公園の向こう側の入口に停車している大きな車を指差した。 「先生が運転するの?」 「息子が運転するわ。帰って来るのが遅くなって、それで出発が遅れちゃった。ゴメンネ」 私たちは顔を見合わせた。 先生の息子! 噂では、大学生で、なかなかのイケメンで先生の自慢の息子だということ。 「ちょっとちょっと、息子が来るんだったら、化粧してきたのにー」 「浩介いるのに何いってんのよー。」 「あんたも、水口君に狙われてるくせに」 前を歩く美紀子と博美はノリノリだ。 後ろからついて来る二人は、多分聞いてない。 私たちがついたことに気づいたのか、ドアがあけられた。 「息子の真一よ。よろしくね」 先生が紹介してくれたけど、こんな時間の車の中。 振り返って少し会釈してくれたけど、さすがに顔まではっきり見えない。 短く切りそろえた髪はいまどきの大学生っぽくない。 第一印象はさわやかな感じ。 「君らも大変だねー。怖い先生の付き添いで初日の出なんてさ」 そう、彼は言った。 「いえいえ。先生の付添いがあるからこそ、 私たちのうるさい親も許可してくれたってものです。感謝です」 と、美紀子が答えた。さすが、優等生のセリフ。 助手席には先生が座り、その後ろは私。 私の横は美紀子、博美。 後ろには水口君と橋本君。 一通り自己紹介した後は、美紀子と博美が、先生の息子さんにずっと話しかけていた。 息子さんもめんどくさそうな素振りも見せずに一つ一つ丁寧に答えていた。 CDから音楽が流れてはいたけれど、ほとんど聴こえない。 ほどよい温度と心地よい車の揺れのおかげで、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
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