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今さら妹?と俺は思った。
九歳も離れた兄弟ができるとは、思ってもみなかった。
でも両親はすごく喜んでいて、それを気に、俺と両親との距離は少し縮まったような気がする。
妹が産まれたことで、共働きになり、両親に妹の面倒を頼まれることが多くなった。
俺は最初は乗り気ではなかった。今まで一人っ子だったので、子供が苦手だった。
妹が寝ている時、泣いていない時は、極力構わないでいた。
ミルクやオムツは仕方ないのでしていたが、‘あやす’‘ふれあう’ということはほとんどしたことが無かった。
そんなことをしていては駄目だと、自分でもわかってはいたが、どう接すれば良いかわからなかった。
いつものように両親が働きに出ていたある日、俺は何もすることがなかったので、学校の宿題をやっていた。
何があるかわからないので、一応妹と一緒の、リビングの机でしていた。
黙々とペンを走らせていて、一息つこうとしたとき、ふと横を見ると、居るはずの妹が、そこには居なかった。
俺はぴたりと固まってしまった。
その日の宿題は、いつもより多くて、集中し過ぎたのかもしれない。
妹は大人しいほうで、もうハイハイは出来ていたが、動き回ることはあまりなかった。
そのことに俺は安心していて、妹に注意を払っていなかったのだろう。
はっと我に返り、リビングを見回した。
だがやはり、この部屋に妹の姿はなかった。
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