離ればなれ

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それから俺は、人が変わったように妹に甘くなった。 自分でも気持ち悪い程、妹に対してだけ尽くす人間になっていた。 今まで気づかなかったが、妹はあまり泣き叫んだことがなかった。 その分笑顔が多く、俺の冷めていた心を溶かしていくようだった。 学校から帰るとすぐに妹のそばに行き、一緒に遊んだり、一方的だが話すようになった。 大人しかった妹も、遊ぶことを覚え、いたずらするようになり、それすらも、成長を見るようで、いとおしかった。 一緒に遊ぶようになって、言葉も覚え始めた。 よく、赤ちゃんが一番最初に発するのは‘ママ’ときく。 でも、妹が一番最初に言ったのは‘にーちゃ’だった。 嬉しかった。 正確に言えば、言われてすぐは驚きで固まってしまったのだが。 その後程なくしてパパ、ママと言えるようになった。 そんな幸せの日々の中、二人に、明るい未来は待っていなかった。 .
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