第一章 桜と少年と

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「今日、入学式があったんだよ……」 桜華町で、一番大きな桜の木。 そこでオレは、端から見たら変人扱いされるであろう――木に話しかけるということをしていた。 この桜は、いなくなってしまった幼馴染みの一人がよく登っていた。 こいつは、あいつの分身みたいなもんだ。 だからオレは、毎日ここに来てその日あったことを聞かせていた。 「あれから、もう10回目の春……。お前は…いつになったら戻ってくるんだ?もう……オレたちのこと忘れて、戻ってこないのか……?」
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