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桜の木の根元に座り、背中を幹に預けるようにして、町並みを眺める。
この場所は小高い丘になっているから、眺めが良い。町全体が見渡せる。
「今日はな、あの日からちょうど10年だってことで、鴉沙も来る予定だったんだけどよ……やっぱり、来られなかったんだ。しかたないよな…あんなことがあったら……」
ざぁっと風が吹き、桃色の花びらが幾枚も宙を舞う。
それを見ながら、オレは無意識に呟いた。
「――桜姫……」
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