二分の一

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二分の一

「215円になります。…こちら温めますか?」 「…いいえ…?」 「っ!そうですよね、すみません。5円とレシートのお返しになります。ありがとうございましたー」 「…っていうのが昨日の出来事なんだけどさ、」 「あはははは!プリンとガム買ってどれを温めるのよ!」 休み時間。 昨日の放課後、コンビニに寄った時のことを友人たちに話すと、彼女らはツボに入ったらしく爆笑していた。 「その店員さん知ってる!ハーフで背の高いイケメンくんでしょ?」 「綺麗な顔してるなーとは思ってたけだ、やっぱりハーフなんだー」 「っていうかイケメンなのに超天然で有名だよね」 「そうなんだ…でね、肝心なのはそのあとのことなんだけど…レシートと一緒に、この紙渡されたんだよね」 「“よかったらメールしてください”…アドレス渡されたの!?」 「うわ!凛すごいじゃん!」 「これって、少なからず好意もたれてるよね…?」 「ていうかほぼ告白じゃん!?」 「ええ、そうなの!?」 大久保 凛。 とくに特徴も特技もない普通の高校二年生です。 人生初のモテ期がきたかもしれません。 「で、メールしたの?」 「してないよ…ていうか名前も書いてないし」 「あ、ほんとだ名前書き忘れてる」 「確か胸元の名札には“山田”って書いてた気がする」 「あの顔で山田!?似合わなさすぎ!(笑)」 「失礼だなあ…」 今日の帰り道、またコンビニに寄ってみよう。 もしかしたら渡し間違いかもしれないし。 コンビニに入ると山田さんは、都合良く商品を並べていた。 「あの…」 「……わああああ!」 そんな驚かなくても……。 「昨日、これ渡してくれた人ですよね?」 「ごめんなさいごめんなさいっ!やっぱり迷惑でしたよねっ!?」 そんな必死に謝らなくても…。 「いや、そうじゃなくて、間違いか何かかなぁと思って…」 「間違いなんかじゃないです……あ、あの、俺仕事があるので、それではっ」 彼は何故か顔を赤くして、スタッフ専用の扉の中へと消えてしまった。 これが、あたしたちの恋のはじまり。
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