初恋なんだ。

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初恋なんだ。

「瀬戸くんってさ、好きな人いるの?」 「え?」 そう聞いてきたのは隣の席の女子の水橋咲。 「あ、いや、ほら、瀬戸くんモテるけど彼女作んないから…」 この子も、僕のこと好きなのかな? 「さー、どうかな」 「えっ、いるの!?」 「秘密」 「えーなにそれー。でも瀬戸くんの彼女になる子って可哀想かも」 「何で?」 「だって彼氏がこんなに可愛かったら、彼女の立場ないでしょ」 失礼な女だな。 「可愛い…か」 「あっ、ごめんねっ?男の子なんだから可愛いなんて言われたくないよね。ホントごめんっ!」 好きな人に嫌われないように必死な女子って、見てると面白いなぁ。 「気にしないで、言われ慣れてるし」 ニコリと笑うと、水橋は安心したのか「よかったぁ」と言って笑った。 ホント、女の子って単純。 それから水橋は、僕に話しかけてくるようになった。 好きな人にアピールってやつ? 「ねー、瀬戸くん、チョコレート好き?」 「チョコレート?」 「うん。甘いのとか大丈夫?」 ああ、そういえばもうすぐバレンタインだっけ。 ちょっと意地悪してやろう。 「実は…甘いの苦手なんだ」 本当は好きだけど。 「えっそうなの?」 「うん。キムチが大好きなんだよね、僕」 「へ、へえ…そうなんだ」 はっはっはっ。 これで水橋はバレンタインの日にキムチを持ってくるだろうな。 バレンタインキムチ……無いわぁ。
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