序章

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「ほら。遅れて悪かったな」 子猫の頭を撫でながら、皿をテーブル上に置く。猫は一声鳴くと、ピョンと段ボールから飛び出て、刺身を頬張り始めた。 「旨いか?」 頭を撫でながら声をかける。子猫は無心に、餌を貪っていた。 * * *  「ん……」 猫を見ている途中で、寝てしまったようだ。純弥は、リビングのソファーに寝そべっていた。 窓の外を見ると、空は橙色に染まっていた。どうやら、夕方まで熟睡してしまったらしい。 そういや、猫は……。 むくりと起き上がり、テーブルを見る。 「……あれ?」 うっかり、声が出てしまった。 だが、それも仕方がない。猫が、居ないのだ。テーブルの上には、ただ薄汚い段ボールがあるのみ。 純弥は慌てて立ち上がると、家の中を捜索し始めた。どこかで糞をされては堪らない。 が。 いざ探そうとリビングの扉を開けて、純弥は停止した。 思考が停止し、息が詰まる。 女がいた。 全裸の女が。 そしておまけに、猫耳と揺れる尻尾。 純弥意外誰もいないはずの家に居る、一人の美少女。(全裸プラス猫耳) それはまさに。 「変態だァァァアアアア!!」 「ひにゃぁぁぁあああああ!?」 一人の少年の叫びと少女の悲鳴(?)が、夕焼け空の海豚街に響いた。
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