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一体、誰がこんな真似を……?
そう思考を廻らせ、いやいや──と首を横に振った。
考えたくもないと思ってはいても、ついつい推察してしまうのは、刑事の悪い癖なのだろう。
「少し、外の空気を吸ってくる」
俺は山内にそう告げ、そそくさと現場を出た。やはり、ここは居心地が悪い。
毎年、毎年……。若い男女の遺体が発見される度に、出張って来なければならない。もうウンザリだ。
──あの雌豚め。どこまでも俺に纏わり付きやがって……!
苛立ちを抑えるように、俺は煙草に火を点け、紫煙を燻らせる。
だが、夜空にゆっくりと立ち上っていく煙を眺めていると、その向こう側で“あの女”が笑っていやがる気がして、直ぐに投げ捨てた。
「……クソッ!」
今日の寝付きは頗る悪そうだ。
仕方が無い……気は乗らないが、今夜は別の雌豚の所へでも行くとしよう。その前に、署で報告書を書かなければ……。
ああ、面倒だ。
クソ、クソ、クソ……。
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