第一話

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 はらり。 一枚の白い書類を手に、俺は東京のど真ん中に来ている。 「ここ、か……」  “甲本 帝 様。幻界戦隊キタコレンジャー 第一次書類審査合格”と書かれた通知を受け取ったあの日、俺の子どもの頃から夢だった俳優への夢の道が、切り開いたように少し大きく広がったような気がした。 その書類に書かれている場所へと一時間以上かけて足を運び、第二次のオーディションにきた。 普通はこう言う戦隊モンの俳優とか、ヒーローショーの役者って五次や六次くらいまで審査があるってよく聞くけど、ここはもう今回の二次審査の当落でこのキタコレンジャー……とやらに、直接参加できるらしい。 第一次の応募者人数は、ネットで調べた結果約3000人。合格者は200人。その中で、第二次を合格できるのはわずか2人。 正直……合格できる気がしない。 何故なら、俺は特技も学歴も至って普通の19歳だからだ。 甲本 帝、と言う名前でいつも書類審査は通過するが、決まって面接で落とされる。 人見知りであがり症の俺の性格を恨む。  
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