第一話

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 ……今度、こそは。  ゴクリ。 自分の何十倍も大きな体で立ちはだかるシルバー色のビルを目の前に、汗を流すと同時に生唾を呑み込んだ。 「GSKビル……って書いてるし、ここだよな。 15分前か、ギリギリ間に合った……」  ふう、って自分を落ち着かせるようにため息を着いて、俺はそのビルの中へ入った。 ―――――――― ――――  GSKビル9階が面接場所。 “幻界戦隊キタコレンジャー新メンバー オーディション会場はこちら”と、丁寧に青字で書かれている貼り紙が、エレベーターのすぐ側に貼ってある。 「す、すみませんっ」 「お」  エレベーターの中に乗り込み9階のボタンを押し、エレベーターの扉が閉まろうとした頃、パタパタと小さな少女が小走りで近付いてきた。 「ごめんね、どうぞ」  ちょっと慌てながら扉を開く。ありがとうございます、って頭を下げながら少女はエレベーターに乗り込んだ。  
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