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「おーい、青ー」
そう呼ぶ声が聞こえて後ろを振り返ると、目の前にネクタイの結び目があった。
視線を上げると、満面の笑みの夏目である。
夏目晴史朗。
絵に書いたような腐れ縁の変人兼友人である。
生まれた病院が一緒で隣に寝ていたと言うから驚きだ。
つまり誕生日も一緒で、親同士が仲が良かったこともあり、保育園から今日に至るまで、ずっと一緒だった。
根はいいやつなのだが、俺はコイツのおかげで色々と苦労している。
色々って何かって?
それは色々だ。
ともかく、今度はなにを持ってきたのやら…
「なんだ、夏目」
「いやぁ、今日の放課後から部活見学でしょ。そこで提案があるんだけど」
うわ、ヤな予感。
夏目が提案という言葉を使うときは、俺があまり乗り気にならないような事柄のときだ。
とりあえず、聞くだけ聞いてみるか。
「提案ってなんなんだ」 「珍しく乗り気だねー」 夏目のやつ、面白がってやがる。業腹だが、ここは冷静に…
「別にそういう訳じゃねえよ。聞くだけだ、聞くだけ」
「聞くだけ?」
夏目は悲しんでいるようだが、目が笑っている。
「ま、いいや。それで提案なんだけど」
そう前置きして夏目は話し出した。
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