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「おーい、あーおー」
声のする方を探すと、夏目が手を振っていた。
「おそいじゃ…ん?」
夏目の目線がすすす…と下がる。
「粋衣ちゃんじゃんか。ガールフレンド連れてくるなんて聞いてないよ」
夏目のやつ完全に面白がってやがる。
夏目は何故か、粋衣のことをちゃん付けで呼ぶ。
皆が粋衣と青のことを冷やかすようになった頃からだったと思うが…
ちらと粋衣の方を見ると、頬が刷毛で塗ったように赤い。
青は気づかない振りをして、視線を夏目に戻した。 「粋衣の叔父さんがここの卒業生で、写真部だったんだって。それで。な、粋衣」
「うん。いいかな一緒に行っても」
夏目はしたり顔で青を一瞥すると粋衣に向き直り
「もちろん!さあ参りましょう。粋衣姫、青王子」
そう言って二人の手を引き、南校舎へと向かったのであった。
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