episode.2

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思い掛けないアドバイスに驚き、無言で頷くしか出来ない。 私は店員から手の平に置かれた二つの指輪。 自分の気持ち…… そういえば、あたしちゃんと言ってないな…… 透真に気を遣ってばかりだ……… 最近は会えないからと向こうに合わせ電話を短めにしていた。 日によってはしない事もあった。 喧嘩をしたくない。 物分かりの良い彼女でいたい。 だけど、そんなの可笑しいよね。 「…………あの」 「ん?」 「これください!」 帰りのバスに揺られながら、私は買った指輪を何時渡すか、そればかり考えていた。 ビックリするかな? 気に入ってくれるかな? 頭を過ぎるのは、あの日と同じ少し照れた笑顔。 渡す瞬間を想像するだで、鼓動が早くなる。 身体を懐かしい緊張が満たしていく。 ふとバスの窓に視線を向けた。 にやけ顔の私がそこにいた。 ・
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