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指輪を買った私は、何度か電話で会う約束をしようと話を持ち掛けた。
彼女なんだし、少し位ワガママ言っても大丈夫だよね。
そう自分に言い聞かせた。
脳裏には指輪を買った時に言われた店員の言葉が響き、それが勇気を出すきっかけになった。
「夏期講習も終わったし、夕方とか会えない?」
『……ごめん。最近練習終わるの遅いから……』
「別に遅くても大丈夫だよ?」
指輪を渡せるほんの少しの時間で良かった。
だけど、返ってくる返事は決まって『ごめん。疲れてるから』。
そんな事が何度も続けば嫌でも分かってしまう。
会う気がないのだと。
そして、その考えを決定付けたのが舞からの知らせだった。
『透真、夏休み中ずっと野球部のマネージャーと一緒に帰ってたらしいよ!』
透真、何であたしと付き合ったの?
断れなかった?
あたしが……年上だから……?
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