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1999年8月3日
「何で!?約束したじゃん!!」
私は受話器の向こうにいる相手に怒りをぶつけていた。
『こっちだって色々あるんだよ!』
聞こえて来る声には僅かに苛立ちが含まれていた。
告白から数週間。
夏休みを迎えた私と透真の生活サイクルは見事に噛み合わなかった。
電話での会話だけの日々。
私は高校受験を控えた身。
夏休みは当然受験勉強に当てられる。
塾の夏期講習もあって遊ぶ時間は少なかった。
そして透真は所属していた野球部が忙しかった。
そんな中でやっと得られた二人で過ごせる大事な日。
二日前から始まった祭りに一緒に行く約束をしていた。
楽しみで何を着ていこうか迷っていた私。
まさかのキャンセルの電話に頭が真っ白。
つい怒りをぶつけつしまった。
「分かってるけど……でも約束したんだよ?何で前日になって……ヒドいよ……」
目には涙が浮かぶ。
言葉の最後は、小さく力無いものになっているのが分かる。
電話口で透真が困っているのも分かっていた。
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