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『……ごめん』
「……………」
本当は此処で諦めたくなかった。
どうしても一緒に行きたいんだと言えば、もしかしたら変わっていたかも知れない。
だけど、出来なかった。
「……分かった。行けなくなったんなら仕方ないね」
年上だからという変なプライドと、面倒くさい女だと思われたくないって気持ちが思考を縛る。
付き合った経験がない私は、最近ある事でずっと悩んでいた。
――果たしてこれは付き合っていると、言えるのか……
受験勉強だけが理由じゃない。
部活が忙しいのが理由じゃない。
それはただの言い訳。
私の心にはモヤモヤした気持ち悪さが広がっていた。
「透真の馬鹿………」
ほんの数秒でいい。
透真の姿が見たかった。
直接声を聞いて安心したかった。
私に勇気があったら、この先の未来も変わっていたに違いない。
後悔はどうして何時も後に姿を現すのだろう。
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