恋愛相関

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 ◇ 「よっこいしょっ、と」 「どりゃあ!! オラァ!!」  ドンガラガッシャン。そんな漫画の世界のような音に僕らは包まれる。散らかる過去の僕の部屋。海藤陸と野火太郎がさらに荒らしに荒らす。机はひっくり返り、棚の漫画はほとんど床へ。足の踏み場なんてもう五分前当たりから見当たらない。容赦なく過去の僕の所有物を踏みつける野火。この世界は本当の世界ではないからといってもさすがに解せない行為である。 「で、見つかりそうか? お二人さん」 「見つかるかよチキショーッッ!!!!」  キレて思い切り分厚い辞典を床に投げ捨てる野火。そこまでぶちギレしなくても。 「野火君の言った通りだね。正直ここでは見つかる気がしないよ。これ以上ここに時間をかけるくらいなら場所を移した方がよさそうだね」  とは海藤。確かにここに僕らの探し物である『手袋(ツブツブの滑り止めがついたやつ)』はないのかもしれない。いつだったか過去に僕はそれを持っていたはずなんだが、これだけ探して見つからないところを見るにどうやら当時の僕はまだそれをてにいれてないようだ。   諦め僕らは部屋を出て狭い階段を男三人で降りていく。すでにぐちゃぐちゃにしてしまったリビングはまるで嵐でも来たようだ。いや、荒らしが来たんだった。  この家に当たりはなかった。限られた時間だというのになんとも時間の無駄である。先頭の野火はまっすぐ玄関へ向かいドアノブに手をかけた。汚れたのかその手は真っ黒である。しかも手の甲だけがだ。手のひらは手のひらでひどい。今のうちに感染病にでも罹ってしまったのかぶつぶつができている。やれやれ、この男は熱くなると手が付けられないな。熱中すると周りが見えないタイプだろう。ホント、何も見えてない。あまつさえ自分のことでさえ……。 「なぁ、野火。その手につけているものは何だ」 「ん? 手?」  視線を落とし野火は自らの手を確認する。 「おい。光輝」 「なんだ野火」 「これ手袋じゃね?」 「そうだな」 「これ手袋だよな?」 「ああ」 「This was TEBUKURO?」 「いやそれはおかしい」 「ふう……。なぁ陸よぉ……」  今度は海藤に振る野火。 「……どうしたんだい?」 「これ……手袋じゃねぇかああああああ!!!!!!!」  そうですね(心の声)。
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