恋愛相関

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「違うんだこれは!」  焦って叫ぶ海藤。尚更それっぽいからやめてくれ。 「なにが違うのかな? 逆に何って思われてると思ったのかな?」 「い、いやそれは……」  責める金原にたじろぐ海藤。ほら、墓穴を掘った。僕は掘ってない。何もナニも掘ってない。 「他人みたいなかんじでいるけど光輝にも私訊いてるんだよ?」  マキコマレタ。仕方ない、というより始めから言っておけばよかったんだが、事情をちゃんと話そう。あわよくば海藤からカードを奪うのを手伝ってもらおう。 「これはだな、つまり」 「俺が光輝の命令通り陸を押し倒してました」  ぶち倒すぞ馬鹿野郎。  その後、やはり生まれてしまった疑惑を晴らすため長い長い言い訳タイムが始まった。「時間がないからもういいよ」と金原が終わらせようとしたが、誤解されたままではいけないと思い必死に止め、結局貴重な時間を無駄なことに費やしてしまうこととなった。いや、無駄じゃない。無駄じゃない。  そして、話の流れはうまいこと流れた。 「ぐへへ。おにいさんそのカードおじちゃんによこしな!」 「だから何キャラだよ」  口角を不気味にあげて海藤をみる金原。どうにか海藤のカードに興味を持たせることに僕は成功したようだ。口車に乗せる才能でもあるのかもしれない。いや、どうせない。期待はしないさ。 「くっ……!」 「私達全員からは逃げらんないよー海藤くん!」 「わ、わかった! みせるみせるよ!」 「ホント? やったー! いえーい光輝ー!」  よくやってくれた金原。結果的にお前が来てくれて助かった。 「ただし条件があるよ」 「え?」「は?」「ん?」「な?」「条件?」 「見せるのは水木君だけだ」 「え」  マジで? なんで?  納得いってないご様子の金原たちをしり目に僕と海藤は電信柱の後ろに回り込む。 「なんで僕だけなんだ? というよりなんで僕なんだ?」 「見ればわかるさ。ほら、これが俺のカードだ」  胸ポケットから切り札をドローするかのごとくそれを取り出す。僕はそれを受け取り恐る恐る書かれた内容に目を通した。  カードには、 『佐土優奈のパンティー』  と書いてあった。
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